素人写真考(上)
私はこのところ少しばかり写真に熱を上げているのだが、それについては、このブログを読んでいただいている方々は既にご存知のことだろう。一昨年の裸木第6号に2葉の写真を載せたのを皮切りに、昨年の第7号には4葉を載せてみた。さらには、ブログの「店主のつぶやき」欄に「私の写真帖」と題した新たなカテゴリーを設け、これまでに第10集まで掲載している。1集あたり50葉近くの写真を載せているのだから、これまでに500葉ほどの数になっているはずである。最初はこんなことをするのは面倒な作業かもしれないと思っていたが、お気に入りの写真を載せるものなので、やり出すとなかなか愉しい。調子に乗るとはこうしたことを言うに違いなかろう(笑)。私はどこかお調子者でもあるので、今年の9月に刊行予定の裸木第8号ではもっと写真のページを増やしてみようかと思っている。
何時でも何処でも写真が撮れるように、バッグに小さなデジカメを入れておき、気に入った風景に出会うとカメラを向ける。この私には、さっと取り出して撮影するには、スマホよりもデジカメの方が使い勝手がいい。もしかしたら、これはたんなる慣れに過ぎないのかもしれないのだが…。家族の写真などであれば、スマホで撮影する方が格段に便利である。取った写真を直ぐに相手に転送できるからである。いちいちプリントして渡す必要がない。しかしながら、今私が興味を持っているのは家族写真のような人物写真ではなく風景写真なので、こちらはそもそも転送の必要がない。こうなると、スマホではなくやはり写りがいいデジカメの方が大事だということになる。荷物の少ない旅が好きなので、一時はデジカメをやめてスマホだけにしようかと思ったこともあった。だが今は違う。旅先にもデジカメを必ず持参する。
では逆に、写りがいいことだけを考えて一眼レフのような立派なカメラにする気があるのかと言えば、それはない。高額だからではない。カメラの図体が余りに大きくかつ重いので、いつもいつもカバンに突っ込んで持ち歩くわけにはいかないからである。持ち歩くのが面倒であっては、どうしても写真を撮る意欲が失せる。それに加えて、高いカメラを使いこなすだけのテクニックもないし、またそれをきちんと学びたいとも思っていないからである。いまさら言うまでもないが、その意味ではもともといい加減な写真愛好家なのである(笑)。撮った写真で気に入ったものがあれば、A3に拡大して印刷する。しばらく前にはA3ノビというさらに大きなにものに印刷したこともあったが、今はやめてA3に統一している。写真の大きさが統一されていないと、保存が面倒になるからである。
印刷には、友人から譲り受けた6色の大型プリンターを使っている。さらに立派なプリンターになると10色というものもあり、こうなるとより鮮明で陰影のある写真が印刷できるようなのだが、結構高額なので今は我慢している。もう少し写真の腕前が上がってから考えるつもりである(何時になったら上がるのかは知らないが…)。印刷した写真は、額に入れて部屋に飾っている。額はニトリで買った安物だが、すっきりしたフレームなので気に入っている。大した写真でもないのに、額だけがやけに立派というのも何だかおかしなものだろう。できうれば写真の周りに余白がある大きな額にしたいところだが、狭い部屋ではそうもいかない。そもそも額が大きすぎると目立ちすぎて、見ているこちらが妙に落ち着かないということもある。
絵や大型のポスターなども好きで何枚か飾ってあるが、こちらはそんなに手軽に変えるわけにはいかない。値段が高額だから、いったん飾ったらかなり長期に渡ってそのままとなる。それに対して写真の場合はどうか。写真を飾ることのできる壁は仕事部屋にそうはないから、今はA3の写真を入れた額が一つだけだが、写真は季節ごとに取り替えるのは勿論のこと、それだけではなくいい写真が撮れたと思えばすぐにでも入れ替えられるので、いつもいつも新鮮な写真を眺めることが可能である。絵の値段と比べれば写真などは只のようなものだから、こんな贅沢ができるのである。知り合いには、プリントの際のインク代が高く付くと言う方もいたが、純正品でなくとも互換用のインクで今のところ特段の不都合は生じていないから、そうであれば大した値段ではない。
最近の額は、表面がガラスではなく透明のプラスティックなので、とても軽いし安全である。しかも、壁に掛けやすいように縦用と横用の小さな金具が最初から二つ付いているので、昔のように紐で調節する必要もない。そんなわけで、縦の写真だろうが横の写真だろうが、額に入れる写真を取り替えることが実に簡単なのである。私は縦の写真が好きなので、横に掛けることは少ないのだが…。いずれにせよ、ボードの壁に少し長めの画鋲をさすだけで、直ぐにすっきりと掛けられる。自由自在なのが申し分ない。
では、写真を入れ替える際に、これまでの古い写真はどうしているのか。4~5枚ほどであれば額に入れたままにしておけるが、それを超えれば別の保管場所に移さなければならない。自分が撮ったお気に入りの写真を、捨ててしまったり押し入れなどに入れて死蔵させてしまうのはもったいないので、現在はA3用のポケットファイル形式のアルバムを買い込んで、そこに収納している。1冊で20葉収納できる。これまでに何冊かたまったので、これも時折開いて眺めている。このアルバムには立派なケースが付いていたのだが、気軽に開いて見るには何とも邪魔なのですべて捨てた。撮りためた写真を見ているうちに、たまにだが昔撮った写真をまた飾りたくなり、現在のものと入れ替えたりすることもある。そんな愉しみ方もある。
こうした写真暮らしは、自画自賛だと笑われることを承知で書けば、自分にとっては素晴らしいの一言である。飾りっきりとなってしまった絵とは大違いである。私などは、写真を絵のように眺めている人間なので、言ってみれば、たった一枚だけの個人ギャラリーに暮らしているようなものである。一人出版社であり自分出版社である「敬徳書院」に、何とも相応しいギャラリーではないか。こんな写真の楽しみ方があり、それが実に面白いことを最近になって実感するようになった。こんなことは、写真愛好家の方々はとっくに実行済みのことなのかもしれないのだが…。
PHOTO ALBUM「裸木」(2024/01/30)
春遠からじ(1)
春遠からじ(2)
春遠からじ(3)